気体分子運動のシミュレーション

小野寺 嘉孝

 上記のファイルには,下記のプログラム 3 個を納めました。
  (その中からソースファイルも取得できます)

プログラムの内容を ここで簡単に紹介します。
2 次元の箱に閉じ込められた 10〜200 個の剛体球分子が互いに弾性衝突し,
さらに,箱の面とも弾性衝突すると仮定して,通常の力学をそのまま適用して
下記の状況でシミュレーションを実行します。

  1. 真空中への自由膨張
    画面の左側には気体の入った箱があり,右側には真空の箱があります。
    このふたつの箱の境界面を壊すと,気体分子は真空中へ自由膨張していきます。
    このとき,
       左右の箱内の分子個数の比率が時間とともにグラフに表示されます。
       任意の時刻に全分子の速度ベクトルを一斉に反転させることができます。
  2. 平衡状態 (マクスウェル分布) の達成
    気体に対して 極めて特殊な初期状態を設定します。
    すなわち,N 個の分子がすべて等しい速度ベクトルを持つと仮定します。
     この場合,当初は分子同士の衝突は発生しませんが,壁に衝突した分子が逆向きに動きだすと すぐに乱れが発生し,ごく短時間のうちにマクスウェル分布が実現します。
     統計力学では 分子間に相互作用の無い気体を 理想気体 と定義して マクスウェル分布を導きますが,実際には,分子間に (弱いけれども無視できない) 相互作用が あるお蔭で,平衡状態が実現します。
  3. 断熱圧縮と断熱膨張
     今度は,箱の上面を上からゆっくり押し下げて,断熱圧縮を行います。
    圧縮により仕事を受け取った気体の温度 T は上がるので, 速度分布のヒストグラムは (高い温度に対応して) 広がりを持ちます。
     圧縮された状態から 断熱膨張すると,結局は はじめの速度分布に戻ります。

これらのファイルは,筆者が 統計力学の講義・演習を担当した際に作成・使用したものです。
ソース・ファイルを含めて,ご自由にお使い下さい。
リファレンス:
Harvey Gould and Jan Tobochnik
"An Introduction to Computer Simulation Methods", 2nd ed. Addison Wesley (1996) Chap. 4

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